補聴器の種類、価格(値段)、機能、メーカー、販売店についてまとめ解説しました!!

2023年3月23日更新

amazonランキング最高2位(2014年耳鼻部門)
認定補聴器技能者認定補聴器技能者

初めまして。「間違いだらけの補聴器選び」(コスモ21社)著者で認定補聴器技能者の中村雅仁です。ドイツの補聴器メーカー、シーメンス補聴器に12年勤務後、7年前に補聴器専門店として開業しました。(※補聴器相談件数はのべ9,600件超)当方の詳しいプロフィールはこちらです。

ご質問の多い「おすすめ補聴器 選び方」について5つのテーマに絞り、約6分間でお伝えします。

自分で補聴器の価格をシュミュレーション

このページの下部にご自身で補聴器の金額を見積り可能な特別付録もお付けしました。

時間のない方にポイントを要約すると…

●補聴器の選び方(価格・値段)
2022年度の市場平均価格は片耳12万円~13万円。初心者におすすめの補聴器は両耳で24万円~
細かな要望、使用場面が複数の環境、慣れる時間をショートカットしたい方は両耳で30万円以上…
※ご予算の中で両耳装用を優先すること
●補聴器の選び方(タイプ)
おすすめはRICタイプ。理由は目立たない事、聴力変化にも対応しやすい。ただし、手先が不自由でサポートしてくれる人がそばに居ない、重度難聴、耳だれがある人には不向き。
●補聴器の選び方(性能・機能)
慣れて下さい、我慢して下さいと言われても「無理」「しんどい」と感じる方は以下の機能を活用するのも一手です。⇒ 多チャンネル、環境認識機能、音声強調、雑音抑制といった機能が有ることによるメリット
●補聴器の選び方(メーカー)
補聴器の心臓部を司るのはICチップ。高価なICチップを自社開発出来るメーカーは6社。⇒資金面からも、世界的な規模で多数のユーザーを抱える欧米のメーカーが、1歩も2歩もリード
●補聴器の選び方(販売店)
一定基準のレベルを満たしている認定補聴器技能者がいること。且つ、購入後も無理なく通える立地に有り、複数メーカー取り扱いの販売店がおすすめ。
理由は、ご自身の聞こえに合った補聴器に出会う確率が高くなること。補聴器はアフターサービス(=調整)が必須の為、購入してからがスタート。

初めての補聴器 選び方(価格・値段)

2022年度の市場平均価格は片耳12万円~13万円

2019年度の補聴器メーカー出荷金額(日本補聴器工業会発表)から、流通価格に換算すると片耳約12万円~13万円。両耳の場合は24万円~26万円といったところ。(市場平均価格)

補聴器メーカーのカタログを見てみると片耳5万円~50万円まで幅広い補聴器が存在しています。

初心者におすすめの補聴器は両耳で24万円~

年齢と共に左右の耳が徐々に聞こえづらくなる加齢性(老人性)難聴には「補聴器両耳装用」が有効です。

  • 方向感
  • 生活音の聞き流し
  • 小さい音の聞き取り
  • 疲労度軽減

などの両耳装用のメリットを考えると、片側だけに高性能の補聴器を装用するよりも少しランクを下げて両耳に装用していただく方が、結果的に満足していただけます。

⇒ ご予算の中で両耳装用を検討する事が最優先

健康的な聞こえの人々が両耳を基本に会話している事を考えると、片耳で聞くことに限界があることが自ずとお分かり頂けるのではないでしょうか?

以下は欧米と日本の補聴器の典型的な違いを表した調査結果です。

参考(ジャパントラック2022 日本補聴器工業会、日本補聴器販売店協会調べ)
■両耳率:補聴器先進国アメリカでは両耳装用率が70~80%、日本は43%にやや低下 
■満足度:補聴器使用者の満足度も日本が最も低い約50%(他国の満足度調査:フランス82%、スイス80%、イギリス75%など) ※引用元はこちら

JapanTrak2022を発表しました(一般社団法人 日本補聴器工業会 ホームページ)
http://www.hochouki.com/information/20230127-70/

どの機能が必要?何故、必要?コストは?

補聴器初心者が最初につまずく諸問題

具体的には・・・

生活音の抑制、自身の声のこもりや響き(話すと響く)の軽減、ピーピー音が外に漏れると言ったハウリングの抑制

を考えた場合、対応できるおすすめ補聴器は両耳で24万円~となります。

更に上級クラスの補聴器を検討する場合とは?

  • 補聴器自体により細かな要望を求める方

購入後もニーズに応じて販売店が微調整できるのが「補聴器」

集音器、簡易型補聴器ではこれらが出来ません。

  • 補聴器を使用する場面が複雑な方

静かな自宅だけでなく、騒がしい街中、多人数の中での会議や会合など補聴器を使用する場面が多数あると想定される方

  • 「時間的慣れ」の面倒さを軽減したい方

周囲の音が気になって仕方がない方、以前にも補聴器を購入してうまくいかなかった方、通販の補聴器を何度も買い換えている方

⇨ 以上の方は、両耳30万円以上の補聴器が該当するケースが多いです。

初めての補聴器 選び方(タイプ)

どんな補聴器がどれだけ流通しているの?

参考(日本補聴器工業会調べ 2022年度)

●出荷台数:補聴器出荷台数は600,178台

<主な内訳>

■耳掛け型補聴器353,655台 

⇒中でもRIC型補聴器(小型耳掛タイプ)が中心です!

■耳穴型補聴器232,226台 ※充電式耳あな型補聴器登場も有り、オーダーメイド耳あな型補聴器中心に伸びています!!

■ポケット型14,058台 ※取扱いメーカーが年々減少し衰退の一途

※1、通信販売の簡易型補聴器は含まれません
※2、小型耳掛け型補聴器RICは耳掛け型に含まれます。

長く使用したい方へのおすすめ補聴器は【RIC型 補聴器】

目立たず今後の聴力変化にも対応しやすい「RIC型 補聴器」

シーメンスのマイコン(micon)チップ
※イメージです

軽度の聞こえにくさを抱える方から、高度の聞こえにくさを抱える方までレシーバー(スピーカー)を1つ、交換するだけで幅広く対応出来るのが特徴です。

着けていることがわからないわからない

具体的には、こんな事例・・・

仮に購入してから数年後に聴力低下が起こっても、スピーカーセット(片耳あたり1万円~3万円)を追加購入するだけで補聴器本体はそのまま使用出来ます。

何よりも、RIC補聴器が好まれる理由として両耳に装用しても違和感が少なく、装用感が良いことも理由に挙げられます。

一見、良いことづくしにように思われるRIC型補聴器ですが、当然ながら”不向き”な方もあります。それは、次のような方々です。

RIC補聴器でなく、耳掛け型補聴器や箱型補聴器(ポケット型)が向いている方は?

  • 【重度難聴の方】
  • 【耳だれがある方】
  • 【手先が不自由でサポートしてくれる方も身近にいない方】

こうした方の場合は「耳かけ型補聴器」「箱形補聴器(ポケット型)」が適していると言えます。

ポケット型(箱型補聴器)
ポケット型(箱型補聴器)

※RIC補聴器同様、汗かきの方は耳掛け型補聴器は故障の一因となります。

耳穴型補聴器が向いている方は?

カラフルな耳あな型補聴器

「マスクを常用している方」や女性で「髪の毛をアップしたい方」は耳穴型補聴器の選択肢もあります。

耳穴型補聴器のメリットは、

  • 耳穴に入れるだけなので、出し入れしやすいこと。
  • 耳介効果で「自然な音の集音」「音の方向が掴みやすい」
  • マスクを常用していても干渉しないこと

耳穴型補聴器のデメリットは、

  • 自分の声が響いたりこもったりすることに対して時間的な慣れが必要
  • 聴力が大幅に変化した場合は買い換えが早まる可能性があること
  • 耳垢詰まりに注意が必要
  • オーダーメイド製品につき、価格が10%以上割高

と、ここまでは、2020年春先までの当方の見解。

聴力変化など「購入後の未来」を最優先する為、RIC補聴器をおすすめするのが【基本スタイル】でした。

コロナ禍ので大きな転換点がありました。。。

マスクの着用が当たり前となった現在では、

耳穴型補聴器(オーダーメイド補聴器)も増えています

その主な理由は、耳にかかる負担(辛さ)と紛失リスクの増大によるもの。

RIC補聴器は常時耳に掛けることが求められ、例えば、メガネご使用者の場合、マスク+メガネ+補聴器の3つが重なり耳に負担をあたえています。長時間に及ぶと「早く外したい」となってしまったり、マスクを外したタイミングで補聴器を紛失したといった事例も急増しました。

★耳穴型の補聴器の一部にはスマートフォンと連携できるブルートゥース対応型補聴器や、遠隔調整対応型のモデルも登場しています。

★耳穴型補聴器の場合、購入後の聴力変化に伴う内部部品のパーツ(=出力を左右するレシーバー)は、一切交換はできませんが、音量を上げたことに伴うハウリング対策(=ピーピー音)としてのシェルと呼ばれる耳の形部分の再作を継続的にフォローアップしてくれるメーカーも有り。

※RIC型補聴器には下記のように専用のオーダー耳栓をつけることで紛失防止対策も可能です。

初めての補聴器 選び方(機能)

ここからは「上位クラスの補聴器は入門的な補聴器と比べて何が違うのか?」について書いてみます。

  • 「聴力レベルに合わせて無駄なく増幅(やかましくない。)」=周波数ごとの調整。チャンネル数、バンド数
  • 「使用する環境毎に、補聴器自身が自動適応(初期段階で補聴器に慣れる時間を削減)」=環境認識機能
  • 「会話に集中しやすい状況を自動的に作る(聞きたい方向に顔を向けるだけ)」=指向性機能
  • 「会話と生活音を自動選別(いわゆる雑音と呼ばれる生活音を嫌がる方には最適)」=雑音抑制、音声強調
  • 「騒音下での聞き取りが向上(肝心な時の聞こえづらさを減らす)」音声認識&雑音抑制&指向性 融合機能
  • 「スマートフォンとの連携可能(音楽や電話、スマホによる音量操作が可能に)」=スマホ対応型
  • 「ピーピーならない(ハウリングが少ない)」=ハウリング抑制機能

等の機能について段階的にレベルアップしていくのが上位クラスの補聴器です。

※自身で操作せずとも自動的に制御

認定補聴器技能者認定補聴器技能者

ここでちょうど半分です。最初にお話した特別付録、「補聴器自動見積り君」もご活用下さいね! 補聴器の選び方メーカー、補聴器の選び方販売店をお知りになりたい方は後半、続けてお読み下さいね↓↓↓

●特別付録<補聴器・簡易自動見積り君>

補聴器の値段・金額を自動的に見積もってくれるこちらもどうぞご活用ください

自分で補聴器の価格をシュミレーションしてみる

該当する箇所にチェックを入れ、最後に【試しに補聴器の見積りを自動計算してみる】の青いボタンをクリックしてください。

認定補聴器技能者認定補聴器技能者

皆さんの現在のお聞こえの状態、補聴器経験有無など、詳細がわからない段階での目安金額ですので、詳しくはご相談される店舗で再度お尋ね下さい。

初めての補聴器 選び方(メーカー)

ドイツの補聴器メーカー出身(シーメンス補聴器12年勤務)の立場からみたおすすめ補聴器メーカーは?

補聴器の心臓部(ICチップ)は欧米メーカーの技術的進歩が一歩も二歩もリード

補聴器が高額である理由の一つに、補聴器心臓部「ICチップ」の開発費の高止まりが挙げられます。

※具体的には数十億~数百億の研究開発費がかかります。自国だけを消費者とせず、全世界を対象として企業活動する欧米メーカーの技術が一歩、二歩リードするのは必然な流れ。

ユーザーが多いほど製品に対するフィードバックが集まり良い製品づくりに役立ちます。※自社で高額なICチップを開発できるのは下記のメーカーグループ群です。

  • オーティコングループ

 オーティコン(デンマーク)、バーナフォン(スイス)

  • フォナックグループ

 フォナック(スイス)、ユニトロン(カナダ)※日本ではNJHが総代理店

  • シバントス、シグニア(ドイツ)※元シーメンス補聴器
  • ワイデックス(デンマーク)
  • GNグループ

 GN(デンマーク)ベルトーン(アメリカ)※ベルトーン…日本ではNJHが総代理店

  • スターキー(アメリカ)

※順不同 
※下線のあるメーカーは当店が推奨するメーカー

認定補聴器技能者認定補聴器技能者

シーメンス補聴器勤務時代は、当然ながら自社製品が唯一無二の「補聴器」としてお客様に強くPRしていました。補聴器専門店として7年前に開業してからは考え方がガラリとかわりました。それは・・・お客様ごとにあった補聴器、補聴器メーカーが存在するということ。

補聴器メーカーについてお知りになりたい方は、更にこちらが詳しいです

初めての補聴器 選び方(販売店)

補聴器購入までの流れ

耳の構造補聴器参考用

お近くの耳鼻科を受診し、先ずは聞こえづらさの原因を特定してください。治療で治る難聴があります。

  • 耳垢づまりによる聞こえづらさ
  • 中耳炎
  • 突発的な難聴(特に90日以内は要注意)
  • この他、治療で治る難聴があります。

耳鼻科受診の相談の結果、

「年齢と共に」や「感音性難聴」と診断され、

治療では改善が見込めないとなった場合には

補聴器の使用が現実的な問題解決の第一歩となります。

補聴器販売店の選び方

補聴器を使用する本当の目的は、単に聞こえないから着けるのではなく

生活の質をいつまでも高いまま維持すること」ではないでしょうか?

いつまでも生活の質を高めるためには自身にあった補聴器販売店の選択が最重要となります。

  1. 技術力 補聴器業界唯一の資格である「認定補聴器技能者」が在籍する店舗での購入をお勧めします。ご自宅近くで技能者がいる店舗を探す場合はこちらが便利です。※お近くに該当店がない場合は、認定補聴器専門店のみを検索するのチェックを外すと候補店が増えて表示され、選べる選択肢が増えます。      
  • 利便性 補聴器は購入後が本当の意味でのスタート。「無理なく調整に通える販売店か?」「店の営業時間は自分にあっているのか?」「調整に十分な時間をかけてくれるのか?」などをご自身の状況に照らし合わせて考えてください。
  • 情報量  最新の補聴器の情報はもちろん、メーカーごとの特性、他の販売店に関する情報、”一定の難聴レベル”に達している場合の補聴器購入に際して、自治体の補助制度”についての案内も適宜行ってくれるなど、補聴器業界の流れに精通している必要性があります。最近は元補聴器メーカー出身者による専門店が増加中。
  • 複数メーカー取扱 近年はどの補聴器メーカーも開発力が進み、ハイレベルな競争を行っています。自分に適しているか?はカタログ上の機能表示だけで判断することは中々困難。一定の難聴レベル”試聴や貸出の際には「言葉の捉えやすさ」「生活音の聞こえ方」「好みの音色、音質」比較検討する必要があります。取扱メーカーが1社だけの場合、「同一メーカーの他のランクに変更する」「改めて別の他店で検討する」という限られた選択と更なる労力が必要となります。
    シーメンスインシオには4つのサイズ
  • お客様にも調整過程が見えるように
  • 本当の価格、値段の考え方 メーカーカタログや店頭で提示された補聴器の価格・値段は決して「補聴器本体」だけの価格ではありません。購入後に複数回、調整を重ねてゆく「調整」の代金が予め含まれているのです。調整技術の有無、利便性、トータル面で本当に価値ある補聴器になるか否かは、最初の補聴器販売店の選択にかかっているといっても過言ではありません。補聴器装用の客観的な効果を測定してくれる店舗が理想です。            
  • 補聴器販売店選び、まとめ   聞こえづらさの原因を知り、いよいよ補聴器を考えるとなった場合には認定補聴器技能者のいる店舗(※できれば複数メーカーを取り扱い店)を第一優先に検討してみてはいかがでしょうか?販売店が自身の利便性に合っているか、TVモニターなどを通じて現在の問題点の共有、調整過程などをわかりやすく示してくれる、補聴器効果測定を実施してくれる店舗がおすすめです。
  •  【思わず読み込んでしまう ”初めての補聴器 選び方”~6分間講座~】は以上です。

    もう一度まとめです。

    ●補聴器の選び方(価格・値段)
    2022年度の市場平均価格は片耳12万円~13万円。初心者におすすめの補聴器は両耳で24万円~
    細かな要望、使用場面が複数の環境、慣れる時間をショートカットしたい方は両耳で30万円以上…
    ※ご予算の中で両耳装用を優先すること
    ●補聴器の選び方(タイプ)
    おすすめはRICタイプ。理由は目立たない事、聴力変化にも対応しやすい。ただし、手先が不自由でサポートしてくれる人がそばに居ない、重度難聴、耳だれがある人には不向き。
    ●補聴器の選び方(性能・機能)
    慣れて下さい、我慢して下さいと言われても「無理」「しんどい」と感じる方は以下の機能を活用するのも一手です。⇒ 多チャンネル、環境認識機能、音声強調、雑音抑制といった機能が有ることによるメリット
    ●補聴器の選び方(メーカー)
    補聴器の心臓部を司るのはICチップ。高価なICチップを自社開発出来るメーカーは6社。⇒資金面からも、世界的な規模で多数のユーザーを抱える欧米のメーカーが、1歩も2歩もリード
    ●補聴器の選び方(販売店)
    一定基準のレベルを満たしている認定補聴器技能者がいること。且つ、購入後も無理なく通える立地に有り、複数メーカー取り扱いの販売店がおすすめ。
    理由は、ご自身の聞こえに合った補聴器に出会う確率が高くなること。補聴器はアフターサービス(=調整)が必須の為、購入してからがスタート。

    ご自身に合った補聴器に出会われること、ご祈念いたしております。

    大阪近郊で補聴器の相談を希望される方はこちらまで

    【NEW】補聴器の新様式 補聴器専門店の補聴器遠隔サービスとは?