<初心者のための補聴器Q&A>

老人ホームにいる認知症の父が使用できる補聴器はありますか?

老人ホームにいる父の件で相談します。1か月に1度、施設を訪問するのですが、かなり大きな声を出さないと話が通じない為、困っています。

以前にも補聴器(ケーブルの付いたポケット型(箱型)補聴器を試したことがあるのですが、「面倒くさい」「嫌だ」と直ぐに外してしまいました。認知症を患う父でも使用できる補聴器はありますか?

ポケット型補聴器
ポケット型補聴器

~大阪市補聴器相談室から回答します~

●先ず、前回の補聴器(ポケット・箱型補聴器)の際に、何が原因で補聴器を外してしまわれたのか?を確認する必要があります。

ポケット型補聴器であれば、嫌われる理由で多いのが「ケーブルがどこにでもついてくるので邪魔」といったものがあります。

次に、「イヤホンが耳の形に合わず、ポロポロ外れてくるのが嫌になった」というものもあります。※もしこれが原因であれば、イヤモールドと呼ばれるオーダーメイドの専用耳栓を作成することで解決することが可能です。

※注意点は、ケーブルで束縛される感があること、さらに専用耳栓で圧迫感を感じる可能性があること。これらがマイナスに作用するならば、別の方法を考えるほかありません。

「周囲の騒音がうるさい」という理由が補聴器を外す原因となる場合には、使用場所を限定するなどの使用用途の変更も必要です。

※ポケット型補聴器のメリットは、電池が長持ち、ボリューム操作、スイッチのオンオフが容易、指向性マイクのように、聞きたい相手にマイクを向ける使い方が可能です。最新のポケット型補聴器には軽度の雑音抑制機能をもつ補聴器もあります。

●扱いやすさから別の補聴器を選択することが必要です。

<ご本人自らが使用できるか??を確認>

電池交換が少なくて済む補聴器を選択

全自動で対応できる補聴器を選択

もし、経験者であれば、自身で音量調整が容易な補聴器を選択

<周囲の環境を考える>

どこで使用するのか?騒々しい食事会場、談話室で使用するのか?それとも自室中心なのか?

電池交換、装用状態の確認を施設スタッフがしてくれるか?

<まとめ>

老人ホームにおられる認知症のご本人様に最適な補聴器というくくりで、お勧めできる補聴器は限定しかねます。

先ずは、ご本人および施設担当者様をまじえての面談、および事前のヒヤリングが必要となります。

補聴器の脱着や保管、紛失防止など補聴器の機能面以外の点で着目する必要もあり、周囲がサポートする体制がどれほどととのっているか?など、事前の相互確認が必要であると考えます。