【初心者の為の補聴器Q&A】カンタンな補聴器とは?

大阪市天王寺区上本町にある補聴器専門店【補聴器ご自宅.com】に寄せられる補聴器の疑問、質問にお答えしてシリーズ。今回は下記のご質問にお答えしてゆきます。

<ご質問内容>

90歳を超える親の補聴器で相談です。会話とテレビだけ聞こえたら良いので、カンタンな補聴器はありますか?

※イメージです。

<大阪補聴器相談室より回答>

結論から申し上げると、ご質問のやり取りの段階でそういった補聴器がある(=存在する)とは言いきれません。

会話とテレビの聞き取り具合に直結するのは、【どれだけ音を正確により分けることできるか?】【どれだけ言葉を選別する能力があるか?】。つまり、弁別能(べんべつのう)と呼ばれる言葉を正確に理解できる力に個人差があるからです。

更に少し突っ込んで申し上げると、補聴器初心者にとって(※特にご高齢になればなるほど)初期段階では会話とテレビの聞き取りは想像以上に難しく感じるかもしれません。

その理由は、補聴器で現在不足する聞こえ(=聞こえにくくなっている小さな声、離れた声)を即座に補正してゆくと、補聴器使用前には聞こえていなかった生活音なども気になりはじめてしまうからです。

※イメージです。

生活音一例:エアコン、冷蔵庫のモーター音、洗い物をする際の水の音、トイレの水を流す音

補聴器というものは、読んで字のごとく【聴こえ】を【補う】もの。聞こえていないものを完全に修復するものではありません。

補聴器の役割を一言で申し上げると…

お客様の現状の【言葉の聞き取り力を日常生活で常時、発揮(=有効活用)出来るようにするもの】です。

例:言葉の聞き取り能力(弁別能)が70%の方は補聴器を使用しても90%、100%になるものではありません。その方の言葉を聞き分ける限界値に近いものがこの弁別能と呼ばれるものです。

補聴器を使用することで、大きな声も、普通の声も、小さな声も出来るだけ70%に近い状態で常時聞こえている状態にしようとするものが補聴器の目的です。

<補聴器の性能の違いは何ですか?>

片耳50万近い補聴器も、片耳20万円の補聴器も静かな環境の中では、前述の言葉の聞き取り能力(=弁別能)を上げるという点では大差はありません。(※言葉の聞き取り力が70%の方を90、100%にするものではないという意味)

差が出るのは、周囲の環境が変わった場合です。

騒々しい中での会話、複数の中での会話など静かな環境に比べて会話がしずらくなった場合に差が出ます。特に弁別能が低下した方はこの差は顕著となり、周囲がうるさいと『聞き取りが出来ない』となってしまいます。

一般的には、補聴器を通じて”聞き取りのリハビリ”を継続することで段々と必要な音、そうでない音の選別が出来てくるようになります。

ただ、ご高齢のお客様の場合、だんだんと慣れてくるといった時間的経過を待つ前に『うるさいからもういらない』『煩わしい』となってしまうことが往々にしてあります。そうした方のために雑音抑制機能(ノイズリダクション)や、周囲の音を避けて聞き取りたい音に集中させる指向性機能などがあるのもこの為です。性能があがるとこうした機能が上質化し、会話に集中しやすい状況を作り出すことが可能になります。

※イメージです。

まとめ

冒頭のご質問、『90歳を超える親の補聴器で相談です。会話とテレビだけ聞こえたら良いので、カンタンな補聴器はありますか?』に対するお答えとしては、

その方がどれだけ言葉を聞き分ける力が残っているか?周囲の生活音にたいしてどれだけ許容できるか?その結果に応じて最適な補聴器をご提案させていただく形になります。会話だけ、テレビだけ聞こえたら良いといったご希望は当然おありだと思いますが時間をかけながら低下した聞こえを補聴器を使用したその日から何事も問題なく使用できるような補聴器はないと言わざるを得ません。時間的経過と補聴器性能による手助けを受けながら段々とご自身の聞こえに合った補聴器を販売店共に作ってゆくものであるとご認識頂けたらと思います。

本日は、【補聴器Q&A】補聴器でテレビと会話だけ聞こえたら良い。簡単な補聴器はありますか?(大阪補聴器相談室から回答)と題してお届けしました。