「簡単な補聴器ないの?」
「耳に入れたらパッと会話だけ聞こえるようなの」
「テレビ見るときだけ聞こえたら、それでええねん」
新聞広告に掲載されている「集音器」「簡易型補聴器」の紹介文をみて「これが私の求めていた商品かも知れない!」と急いで注文。
いざ商品が到着して手に取ってみると、あれ、なんか違う。。。
聞こえ方はイメージと違うし、扱いの面でも意外と面倒な事も多い
そんな経験をお持ちの方もあるのではないでしょうか?
今回は新聞広告に決して書かれることのない”意外と難しい補聴器”の側面について書いてまいります。
目次
① 補聴器の着け方、外し方
補聴器の着け外しについては、高齢になればなるほど覚えるのが難しく習得するまでに時間がかかります。高齢者の手先の感覚は、あたかも軍手を着けて作業をしていると言われるほどです。もちろん、補聴器の形状(耳かけ型、耳あな型など)や装用者の耳の形、皮膚の状態(しわ耳、毛が多いなど)にも左右されます。
⇒対面販売で購入する補聴器ですら着け外しに時間がかかる方が多いのですが、相手の事情をしらないまま一方通行で販売する通販がさらに難しくなることはいうまでもありません。
対面でご自身が今現在出来ていないことを指摘してもらうことも重要です。購入時に専門家からしっかり指導を受けましょう。
こっそり教える補聴器着け方のポイント
どの形状にも言えることですが、耳穴の形は誰しも曲がりがあります。ストレートな耳穴であることは却って珍しいのです。よって、回転させながら滑るように着け外しすることが望ましいです。また、耳たぶを後方に引っ張ると耳穴はストレートになります。補聴器が入りにくいときは、耳たぶを後方に引っ張って馴染ませると良いでしょう。
② 電池の交換、取り扱い
補聴器は専用の空気電池を使用します。大きさが4種類ありますので購入時は注意してください。電池の交換時期は形状、使用状況によって異なりますが、短いもので5日ぐらい、長いと1ヶ月ぐらいとなります。電池に密閉のシールが貼られていますので、使用前まではがさないようにしましょう。電池の保管は、後述する補聴器の乾燥ケースとは別にすると良いでしょう。また、冬場は空気の乾燥、室内での暖房機器の使用による酸素不足で、電池の中の化学物質の反応が悪くなり、電池の持ちが悪くなることがあります。
③ 補聴器のお手入れ
補聴器は精密機器です。最近は防水、撥水加工した製品も登場していますが、やはり日常のお手入れが補聴器を長持ちさせる秘訣です。保証期間を過ぎていると、補聴器の故障による修理代金も数万円かかる場合もありますので、大事に補聴器を使っていきましょう。
乾燥が重要
まず大事なのは、補聴器を乾燥させることです。一日中、身体に密着しているので、湿気にさらされているからです。就寝前には専用の乾燥ケースや電動式の乾燥機に入れて、一晩かけて乾燥しましょう。
耳垢とホコリが大敵
次に大事なのは、耳垢やホコリなどの汚れを取り除くことです。ティッシュなどで補聴器本体を軽く拭いたり、専用のブラシで耳の穴に触れている部分や、音が出ている部分を軽く掃除しましょう。耳垢詰まりによって音が出なくなるのを防ぐことができます。このとき、ブラシの掛け方に注意してください。ブラシによって、汚れを補聴器本体に押し込んでしまわないようにしましょう。
他にも消耗品の交換があります。耳垢が音の出口に入らないようにするフィルター、耳せんやチューブなどです。補聴器によって必要な部品は異なりますので、専門家から説明を受けましょう。
押さえておきたい補聴器と集音器の違い
※通販でお買い求めになる製品の大半は保証期間が1年未満。(補聴器は通常2年保証)
通販で購入した集音器が故障障した場合には再び再購入となることもリスクとして押さえておきたいポイントです。
いかがでしたか?これだけ注意点を聞かされると「面倒くさい」と思った方もあるのではないでしょうか?
補聴器に慣れる秘訣は…
当店がお世話させていただくお客様の中には、90歳を超えて上記のような注意点に気をつけながら今もバリバリ補聴器を使っておられる方もあります。この方の場合は早くから補聴器を使い始めたため、「習慣」として体で覚え込まれているといっても過言ではありません。
補聴器の使い方・扱い方等、覚えることはたくさんあります。
ですが「人の話を聞きたい!」という大きな目標、きっかけが強ければ強いほど皆さん自然と習得されていきます。
補聴器販売店やご家族とも協力しながら、末長く補聴器と良いお付き合いができるといいですね。
今回は「こんなはずじゃなかった」 新聞広告には決して書かれない”補聴器が簡単ではない3つの理由”(補聴器使い方編)と題してお届けしました。