今回は補聴器両耳装用のメリットとデメリットについてお届けします。
「補聴器は片耳だけでいいんでしょう?」
初心者の方の補聴器相談に立ち会いますと、約半数の方がそうおっしゃいます。
「自分の周りで補聴器をしている人は皆、片方だけです。」とも。
ちなみに補聴器の先進国アメリカの両耳装用率は、補聴器購入者の約90%近い数字まできています。
日本の補聴器市場調査「ジャパントラック2015」(日本補聴器工業会調発表)によりますと、直近の数字で44%の方が両耳装用をされているとのこと。(前回調査の2012年時は39%)
参考データ:
アメリカはじめ、ヨーロッパでの補聴器満足度【購入者を対象にした調査)は最新データで約80%前後で推移しています。
一方、日本の場合は39%。他国と比較すると、満足度のは約半分
前回調査よりも3%(※2012年ジャパントラック)増加したといえど、まだまだ満足度が高くないといえます。欧米とは補聴器流通経路が異なる為、厳密かつ単純比較は難しいと考えますが、欧米にあって日本にないところを一つあげると「両耳装用率が低い」ことが挙げられます。
両耳装用が低い背景は、補聴器購入前の情報量の不足、補聴器業界のPR不足、障害者手帳をお持ちの方への補聴器給付が片耳のみ、といった事柄が挙げられます。
ここからは、補聴器両耳装用のメリット、デメリットについてまとめてゆきます。
両耳装用のメリット
- 小さい声、離れた音が聞こえやすい
- 騒音下での聞き取りUP
- 生活音の抑制効果。
- 補聴器の音量を下げることができる、耳への負担が減る
- 言葉の聞き取り力、維持
- 正確な方向感
両耳装用のデメリット(※特に補聴器初心者の場合)
- 価格面(1.5倍~2倍)
- 閉塞感(とくに耳穴式補聴器。)モノを噛んだ時に響くことも
- 自分の声が大きいと感じる場合がある
- 聴力レベルによっては、見た目のイメージ低下
- 聴力レベルによっては、両耳装用の効果が見られない場合あり。※対処法はクロス式補聴器
両耳装用について、メリットデメリットの面から比較します。
●メリットの面について・・・片耳装用では決して実現出来ない事を両耳同様は実現してくれます。
●デメリットの面について・・・ご高齢になられますと、どうしても慣れないといった方があります。時間的な慣れ、により解決できる問題もあります。また、そうしたことを軽減させる術もあります。
補聴器を新たにスタートした直後は違和感があっても、最終的に気にならないとなる方が大半ですので、特にデメリットであると感じない方も多数おられます。ただ、あらかじめ、初心者が両耳に装用すると上記のような事象が生じる、といったことを頭に入れていただいていた方がよろしいかと思います。
両耳装用をはじめるにあたっての注意点
良いことづくめに見える補聴器両耳装用も、下記の点には注意してください。
- 左右の音量バランスはとれていますか?片耳だけ音量上がり過ぎていないですか?
- プログラムとよばれる場面ごと設定、左右共に同じプログラム(場面)に整っていますか?
- 指向性とよばれる前方の声に焦点をあてる機能、両耳ともに整っていますか?片側だけ前に向いてませんか?
- 左右を別々に調整する必要がある場合には、左右別に調整できるリモコンをご使用ですか?
- 販売店での調整後、左右のバランスが整っていることを確認しましたか?
ご自身で確認できること、できない事もありますが、自分で常に確認することが面倒な場合には最近のトレンドである「両耳バランス」「両耳通信機能」をもった補聴器を予め選定して購入された方が賢明です。後から気づいても補聴器の調整だけではどうしようもありませんし、当然ながら直ぐに買い換える訳にもゆきませんので。
以上、今回は、補聴器両耳装用のメリットデメリットについてお話しました。