今回は補聴器装用のスタート時期についてのお話です。
結論から申し上げると、補聴器装用はできるだけ早いほうが良いです。
その理由を2つの面から考えてゆきます。
<補聴器装用後の効果面から>
先ずは、装用後の効果(メリット)から。
弁別能と呼ばれる言葉の聞き取り力は、書いている私も含めて、年齢と共に低下してゆきます。※代表的な例では、耳元で「加藤さん」とささやいても「佐藤さん?」となるように。
言葉の聞き取り力が、かなり低下した状態から補聴器をスタートしても中々満足に補聴器を使用することはできません。「音は聞こえるが言葉の意味が分からない」「口元を見ながら出ないと言葉の意味が分からない」といった反応に至ります。聞こえが低下した状態で一度出来上がってしまった回路は元に戻すこと至難の業です。※補聴器の世界では、一度低下した言葉の聞き取り力は、元には戻らないことを補聴器販売の席上ではご説明します。
一方、言葉の聞き取り力低下がわずかであれば、補聴器を早期使用することで、元々出来ていた言葉を理解する回路に近くまでトレーニングすることは可能です。最近の研究では、補聴器を購入するだけでなく、言葉の聞き取りトレーニングを併用することで言葉の理解度が改善するといった報告もなされています。
※2016年シーメンス補聴器(シバントス)臨床セミナーにて演者より報告
<補聴器の日常使用面から>
手先の面から電池の交換、補聴器の脱着の難しさ、周囲の音慣れ、両耳からの聞こえ慣れの順応性など若いころには何でもないことが、年齢を重ねると難しく感じることが増えてきます。当方は補聴器の自宅出張訪問サービスを展開しており、通常の店舗での補聴器販売をされる方以上にこのあたりのご苦労を目の当たりにすることが多いです。
<当方の見解>
「私はまだ聞こえている」「補聴器なんか必要ない」とのお声もよく聞きますが、「相手の声が通常以上の大きさであれば」「静かな場所であれば」といった条件が付くということも忘れてはいけないポイントではないかな?と思います。
補聴器を使用すること自体が「格好悪いイメージ」であると思われる方もありますが、一般的には「何度も聞き返す姿を拝見しているほうが、格好悪い」と思われていることもお忘れなく。
今回は、補聴器はいつから? 補聴器を早くスタートした方が良い理由についてお話ししました。