今回は【初心者の為の補聴器講座】補聴器を使用すると食事の際の咀嚼(そしゃく)が気になる?についてお話します。
現在、他の補聴器販売店から耳掛け型補聴器(両耳)の貸し出しを受けているA様からの上記ご質問にお答えします。
●結論
補聴器を使用しますと、少なからず「響き」「こもり」「咀嚼音」は気になります。物理的に異物で耳を塞いでいるわけですから。
ご自身の耳に人差し指でフタをしてみてください。「あ~」と声を出してみるとご自身の声が響いたり大きくなることがわかるのではないでしょうか?
同じく、耳を塞いだ状態でガムや飴を口に入れてみてください。いつも以上に咀嚼が気になるのではないでしょうか?
音を伝えるのは、耳(耳穴)からだけではありません。もうひとつのルートがあるのです。
それは、「内耳」と呼ばれる音を処理する部分へ、顔の骨を通じて直接音を届ける経路「骨導」(骨伝導)であります。
補聴器や指先で耳を塞ぐことで、いつも以上にこの「骨導」の感度が上がるのが直接的な原因です。
対策としては以下の方法があります。
- 耳の中に入る部位(耳栓、耳穴補聴器の先端)を小さくしたり、細くしたりする
- 耳穴に隙間をつくる(ベントと呼ばれる耳穴補聴器のこもり対策にも繋がります)
- 補聴器を少し浮かす
- 両耳につけている補聴器を片側にしてみる
等など
●こうした背景からも、比較的咀嚼音が気になりにくいRIC補聴器の増加が目立ちます。
ご質問頂きましたA様にも同様に回答させて頂きました。上記の対策を試しながら徐々に慣らしてゆくのが本来の流れです。
咀嚼音が気になり出すと、食事中の会話、テレビが聞こえにくい場合もあるかと思います。これがきっかけで、補聴器がイヤになる場合もあるかもしれません。
ここで今一度考えてみますと、補聴器を使用する目的は日常生活で不自由を少なくすることが最優先。最初から、補聴器で全てを解決しようとするのではなく、小さな問題点を複数潰して行くことが補聴器と仲良くなれる秘訣。
対策はありますが、完全ではありません。耐えられるレベルにも個人差はあります。慌てずジックリと補聴器に慣れて行きましょう。
今回は【初心者補聴器講座】食事の際の咀嚼音が気になる、についてお話しました。