AirPods Pro 2は補聴器の代わりになる?学会論文から見えた本当の差
大阪市天王寺区で補聴器専門店を運営し、認定補聴器技能者として25年以上この分野に関わっています。
現場でも「AirPodsは補聴器の代わりになりますか?」という質問を受けることが増えてきました。
確かに最近のイヤホンは性能が上がり、
AppleのAirPods Pro 2には聴覚補助機能も搭載されています。
では本当に補聴器の代わりになるのでしょうか。
今回は、日本の聴覚医学の学会誌 Audiology Japan(2025年) に掲載された研究をもとに解説します。
研究概要
この研究では
- AirPods Pro 2
- 耳穴型補聴器(NX4ITC-DWC)
の音響特性を比較しています。
評価には補聴器の調整理論である NAL-NL2処方 が使用されました。
測定条件
| 入力音圧 | 説明 |
|---|---|
| 55dB | 小さな声 |
| 65dB | 通常会話 |
| 75dB | やや大きい声 |
測定周波数
- 250Hz
- 500Hz
- 750Hz
- 1000Hz
- 2000Hz
- 4000Hz
結果① 低音〜中音域は意外と近い
研究結果では
250〜750Hz の範囲では
AirPods Pro 2も
ある程度の補助効果が確認されました。
つまり軽度難聴の場合
声が少し聞き取りやすくなる可能性
があります。
結果② 高音域では補聴器が大きく優位
しかし 4000Hz付近 では大きな差が出ました。
補聴器の方が
約14dBほど大きな補正
が可能でした。
この高音域は
- 子音
- 会話の明瞭度
に大きく関係する部分です。
結果③ 処方ターゲットとの一致
補聴器は聴力測定に基づいて
処方ターゲットという理想的な増幅値が決まります。
| 機器 | 処方一致 |
|---|---|
| 補聴器 | ほぼ一致 |
| AirPods | 不一致が多い |
AirPodsは
個別聴力に合わせた精密調整ができない
という点が大きな違いでした。
補聴器専門店としての現場の実感
実務経験として感じていることもお伝えします。
AirPodsは
補聴器の代わりというより、入り口として役立つケース
があります。
例えば
- 補聴器修理中の一時的な代用
- 補聴器購入に踏み込めない方の入り口
として使われることがあります。
実際の現場では
機械的な違いだけでなく様々な「聞き取りにくい原因」が複数、存在します。
「持っている補聴器が聞こえない」
聞き取れない要因を挙げると・・・
- 補聴器の設定
- 耳栓(イヤモールド)
- 聴力そのものの限界
など、いくつかの要因があります。
認定補聴器技能者は
これらを測定や調整を通して判断し、最適な状態に近づけていきます。
AirPodsと補聴器の違い
| 項目 | AirPods | 補聴器 |
|---|---|---|
| カテゴリー | 一般イヤホン | 医療機器 |
| 微調整 | 基本なし ※初動アレンジのみ | 聴力別調整 |
| 高音補償 | 弱い | 強い |
| 実耳測定 | なし | あり |
| 専門家調整 | なし | 認定補聴器技能者 |
結論
AirPods Pro 2
- 軽度難聴の補助としては一定の効果
- 聞こえの入り口としては有効
しかし補聴器は
- 高音域補償
- 聴力別フィッティング
- 処方ターゲット一致
という点で
医療用補聴器の代わりにはならない
という結果になります。
FAQ
よくある質問
AirPodsは補聴器の代わりになりますか?
AirPods Pro 2には聴覚補助機能がありますが、医療用補聴器の代替にはなりません。学会研究でも、低〜中音域では一定の補助効果があるものの、高音域の補正や聴力別フィッティングでは補聴器が大きく優れていることが示されています。
AirPodsは難聴に効果がありますか?
軽度難聴の場合、音を少し聞き取りやすくする可能性があります。ただし聴力測定に基づいた調整ができないため、聞き取りの改善には限界があります。
補聴器とイヤホン型デバイスの違いは何ですか?
大きな違いは以下の3つです。
・聴力測定に基づいた調整
・処方ターゲット(NAL-NL2など)への一致
・実耳測定による微調整
これらは補聴器専門店で行われる調整であり、一般イヤホンでは対応できません。
AirPodsは補聴器修理中の代わりになりますか?
完全な代替にはなりませんが、軽度難聴の方が一時的に使うケースはあります。補聴器修理中の仮の聞こえ補助として使われることもあります。
持っている補聴器が聞こえない…聞き取りにくい原因は補聴器だけの問題ですか?
必ずしも機械だけが原因とは限りません。
聞こえの問題には
・補聴器設定
・耳栓(イヤモールド)
・聴力そのもの
など複数の要因があります。
認定補聴器技能者はこれらを測定と調整を通して判断します。
関連記事
AirPodsの聞こえ方については
こちらの記事でも詳しく解説しています。

補聴器と集音器の違いについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

引用文献 ※今回の記事はこちらを参照させていただきました。
Kawano A, et al.
Comparison of acoustic characteristics between AirPods Pro 2 and hearing aids.
Audiology Japan. 2025;68(5):412.




