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補聴器の種類|耳穴式と耳掛け式どちらが合う?生活スタイル別に専門店が解説

2026 3/09
補聴器の基礎知識
2026年3月9日
RIC充電式補聴器

補聴器を検討される方から、よくいただく質問があります。

「補聴器にはどんな種類がありますか?」
「耳穴式と耳掛け式、どちらが良いのでしょうか?」

補聴器の種類は大きく分けて、耳穴式補聴器と耳掛け式補聴器の2つです。

大阪市天王寺区でメーカー勤務12年、補聴器専門店を13年以上続けてきた経験から解説します。

補聴器選びの要点(先に結論)

耳穴式と耳掛け式補聴器は「どちらが優れている」というものではなく、生活スタイルによって向き不向きが変わります。補聴器専門店の現場では、次のような傾向があります。

  • マスクをよく使う → 耳穴式が便利
  • 音質やBluetooth機能 → 耳掛け式(RIC)が有利
  • 操作のしやすさ → 耳掛け式
  • 重度難聴 → 耳掛け式(BTE)
  • 目立たない補聴器 → 耳穴式または小型RIC
  • 電池交換が不安 → 充電式(耳掛け式が豊富)

補聴器は機種そのものより、聴力と生活環境に合わせた選択と調整(フィッティング)が重要です。

目次

まず知っておきたい|耳穴式と耳掛け式の基本

●補聴器の種類は大きく「耳穴式補聴器」と「耳掛け式補聴器」に分かれます。

◆耳穴式補聴器(カナル・CIC・IIC)

耳の中に収まるタイプの補聴器です。耳型をとってオーダーメイドで製作するため、フィット感に優れています。

主なメリット

  • 耳の中に収まるため目立ちにくい(CIC・IICは横から見てもほぼわからない)
  • 耳の集音効果を活かした自然な聞こえ
  • マスクやメガネと干渉しない
  • 帽子やヘルメット着用時も干渉なし
  • 耳穴の中は汗をほとんどかかないため、汗による故障リスクが低い

注意点

  • 小型な分、電池寿命が短くなりやすい(4,5日に1回の交換が目安)
  • Bluetoothなど機能を追加すると本体が大きくなる
  • 購入前に実際の装用感を試すことが難しい(オーダーメイドのため)
  • 重度難聴の方には出力が足りないケースがある
※ 耳穴式の価格帯:片耳12万円〜50万円程度(既成品を含めて12万円以上が実際の目安)

◆耳掛け式補聴器

耳の後ろに本体を掛けるタイプです。現在は主に2種類があります。

① 従来型耳掛け式(BTE)

本体の中にスピーカーが入っているタイプで、音はチューブを通って耳に届きます。

  • 重度難聴の方にも対応できる大きな出力が可能(BTE以外では対応が難しい場合あり)
  • 故障が比較的少なく、湿った耳垢にも比較的強い
  • 電池寿命が長い
  • 試聴・レンタルが可能で、購入前に装用感を確認できる
※ BTEの価格帯:片耳3万円〜50万円程度。ハイパワー機種は高くなりやすい。

② RIC(Receiver In Canal)耳掛け式補聴器の一種

最近の主流となっている耳掛け式です。RICとは「Receiver In Canal(レシーバー・イン・カナル)」の略で、耳掛け式補聴器の一種です。スピーカー(レシーバー)が耳の中に入り、本体とは細いケーブルでつながっています。

  • 鼓膜の近くで音が出るため自然な音質
  • 小型で目立ちにくい
  • 開放的な装用感のため慣れやすいケースが多い
  • 充電式の種類が豊富

注意点

  • 耳垢が湿っている人は故障リスクあり
  • レシーバー交換費用(1.2万〜1.5万円程度)がかかる場合がある
※ RICの価格帯:片耳10万円〜55万円程度。

電池式と充電式、どちらを選ぶ?

耳穴式・耳掛け式それぞれに「電池式」と「充電式」があります。タイプ選びと同様に、生活スタイルに合わせて検討することが大切です。

充電式のメリット

  • 小さな空気電池の交換が不要——手先が不自由な方や高齢の方に特に便利
  • ケースに入れるだけで充電完了。スマホと同じ感覚で使える
  • ランニングコストがかかりにくい(電池購入費が不要)
  • 電池切れを気にせず外出できる

充電式の注意点

  • 旅行や外出先でのバッテリー切れに備えて、専用充電ケースの携帯が必要
  • 補聴器本体のバッテリーは数年で劣化するため、将来的に交換費用が発生することがある
  • 電池式と比べて本体価格がやや高い傾向がある

タイプ別の充電式対応状況

  • 耳掛け式(RIC・BTE):充電式の種類が豊富。主要メーカーの多くが充電式を展開しており、選択肢が広い
  • 耳穴式:充電式は近年増加傾向にあるが、CIC・IICなど超小型タイプは構造上バッテリーを内蔵できず非対応が多い。充電式に対応するのはカナル(ITC)以上のサイズが中心
※ 電池式の場合の交換目安は、耳穴式で約4,5日から7日、耳掛け式(RIC)で約4〜7日程度です。手先の器用さや電池管理に不安がある方には充電式を強くおすすめしています。

難聴の程度と対応できるタイプ

耳穴式か耳掛け式かを選ぶ前に、まず自分の難聴の程度を把握することが大切です。難聴の程度によっては、選べるタイプが限られる場合があります。

難聴の程度 目安(聴力レベル) 対応できるタイプ
軽度 25〜40dB 耳穴式・耳掛け式(RIC/BTE)どちらも可
中度 40〜60dB 耳穴式・耳掛け式(RIC/BTE)どちらも可
高度 60〜90dB 耳掛け式(RIC・BTE)が中心。耳穴式は限られる
重度 90dB以上 耳掛け式BTE(ハイパワー機種)が基本
※ 耳穴式の実際の価格帯は片耳12万円以上(既成品含む)が目安です。耳掛け式BTEは3万円台から対応機種があります。まず耳鼻咽喉科や補聴器専門店で聴力検査を受けることをおすすめします。

生活スタイル別|おすすめタイプ

生活スタイル おすすめ 主な理由
マスクをよく使う 耳穴式 耳回りの干渉を避けられる
違和感を減らしたい 耳掛け式(RIC) 開放的な装用感で慣れやすい
操作のしやすさ重視 耳掛け式 本体が大きく扱いやすい
電池交換が不安・面倒 充電式(耳掛け式が豊富) ケースに置くだけで充電完了
Bluetooth・TV連携 耳掛け式 消費電力に余裕がある
スポーツ・汗をかく 耳穴式 or IP68対応耳掛け式 汗への耐性が高い
片耳が聞こえない 充電式耳掛け型(RIC) 常時送信で電池消費が大きいため
重度難聴 耳掛け式(BTE) 出力が大きく重度にも対応

① マスクをよく使う人

おすすめ:耳穴式

耳掛け式はマスク・メガネ・補聴器と耳の周りが混雑しやすく、マスクを外した際に補聴器が一緒に外れてしまうリスクもあります。医療職や接客業の方に耳穴式を好まれる方が多いのはそのためです。

② 補聴器の違和感を減らしたい人

おすすめ:耳掛け式(RIC:Receiver In Canal)

耳穴式は耳の中をふさぐため、自声のこもりや圧迫感を感じやすい場合があります。RICタイプは耳穴を塞がないオープンフィットが可能で、装用したばかりの方にも慣れやすいケースが多いです。

③ 操作のしやすさ重視

おすすめ:耳掛け式

本体が大きく目で見ながら操作でき、電池交換や充電もしやすいのが特徴です。紛失リスクも低く、高齢の方にとっても扱いやすさの面で耳掛け式をすすめることが多いです。

④ BluetoothやTV連携を使いたい

おすすめ:耳掛け式

Bluetoothは電力消費が大きいため、本体サイズに余裕が必要です。スマホ通話・テレビストリーミング・外部マイクなどを使う場合は耳掛け式が安定します。耳穴式でBluetoothを入れると本体が大きくなり、目立たなさのメリットが薄れることもあります。

⑤ スポーツや農作業など汗をかく方

おすすめ:耳穴式 または IP68対応の耳掛け式

耳の穴の中はほとんど汗をかかないため、耳穴式は汗による故障リスクが低いです。耳掛け式を選ぶ場合は防水・防塵等級(IP規格)を確認することが重要です。

  • IP68:最高等級。防塵・防水ともに最高クラス(耳掛け式の多くが取得)
  • IP58:耳穴式に多い等級。水面下30分に耐える優れた防水性
※ 汗には塩分が含まれるため、汗が多い方は耳穴式か防水等級の高い耳掛け式を選ぶことが安心です。いずれも濡れた後は水分を拭き取り、乾燥させるケアが必要です。

⑥ 片耳が聞こえない(クロス補聴器)

おすすめ:充電式耳掛け型(RIC)

クロス補聴器は聞こえない側にマイク、聞こえる側に補聴器を装着する仕組みです。音を常時送信するため電池消費が大きく、現在は充電式RICタイプが主流になっています。

⑦ 重度難聴の方

おすすめ:耳掛け式(BTE・ハイパワータイプ)

重度難聴には大きな出力が必要なため、BTEタイプが基本となります。耳穴式では出力が足りない場合があります。ハイパワー対応のBTEはIP68取得機種も多く、耐久性も高いものが揃っています。

音質の違いはあるのか?

音の自然さという点では、タイプによって少し違いがあります。

  • 耳穴式:耳の形を利用するため、前後の聞き分け(方向感覚)が働きやすい
  • RICタイプ:鼓膜近くにスピーカーがあるため、音の鮮明さが高い
  • 従来型耳掛け(BTE):チューブを通るためわずかな音の変化があるが、メーカー側でその変化も含めて調整設計されている

どのタイプも補聴器専門店でのフィッティング調整が音質の仕上がりに大きく影響します。機器の性能を活かすには、購入後の継続的な調整も重要です。

「小さい補聴器=耳穴式」は必ずしも正しくない

よく「小さい補聴器=耳穴式」と思われがちですが、実はそうとも限りません。BluetoothなどのIT機能を入れると耳穴式はどうしても大きくなるためです。

「小型+高機能」を両立したい場合は、RIC型の耳掛け補聴器が選ばれるケースも増えています。日本国内の補聴器流通の約65%が耳掛け式(RIC含む)であり、小型化・デザイン性の向上が進んでいます。

はじめての方へ|試聴・フィッティングの重要性

補聴器は購入して終わりではありません。特に初めての方にとって、どちらのタイプが合うかは実際に試してみて初めてわかることも多いです。

  • 耳掛け式は店頭で実際に装用して試聴が可能(2週間無料試聴を行う専門店も多い)
  • 耳穴式はオーダーメイドのため事前の装用感確認が難しい面がある
  • 購入後も聴力の変化に合わせて定期的な調整(フィッティング)が必要
  • 補聴器専門店での購入は、アフターフォロー込みの価格と理解することが大切
※ 補聴器の購入費用は2018年度から医療費控除の対象になっています。控除を受けるには、耳鼻咽喉科学会認定の「補聴器相談医」の診察と所定の書類が必要です。

耳穴式 vs 耳掛け式|特徴まとめ

比較項目 耳穴式 耳掛け式(RIC/BTE)
目立ちにくさ ◎ 耳の中に収まる ○ RICは小型。BTEはやや目立つ
マスク・メガネとの共存 ◎ 干渉しない △ 干渉しやすい
装用感(開放感) △ こもり感が出やすい ◎ 開放感がある(RIC)
操作のしやすさ △ 小型で扱いにくい ◎ 大きく扱いやすい
充電式の選択肢 △ 超小型は非対応。カナル以上が中心 ◎ 主要機種の多くが充電式に対応
汗への耐性 ◎ 耳穴は汗をかきにくい △ 防水機種なら問題なし
重度難聴への対応 △ 出力が限られる ◎ BTE対応可能
Bluetooth・高機能 △ 機能追加で大型化 ◎ 本体に余裕あり
試聴のしやすさ △ オーダーメイドのため困難 ◎ 店頭試聴が可能
価格の幅 片耳12万円〜50万円(既成品含む) 片耳3〜60万円(RICは10〜55万)

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 補聴器を初めて使う場合、どちらから始めるのがいいですか?

初めての方には、試聴ができる耳掛け式(特にRICタイプ)をおすすめするケースが多いです。実際に装用して音の聞こえ方や装用感を確認してから購入を決めることができます。耳穴式はオーダーメイドのため、購入前に装用感を確認するのが難しい面があります。

Q2. 耳穴式と耳掛け式、価格はどちらが高いですか?

耳穴式は片耳12万円〜50万円程度、耳掛け式は片耳3万円〜60万円程度と、どちらも機能・性能によって価格が変わります。一般的な購入者の平均は1台あたり約15万円(両耳で30万円程度)です。耳穴式はオーダーメイドの製作コストが加わるため、耳掛け式と比べて下限価格が高めになる傾向があります。

Q3. 汗っかきですが、どちらが安心ですか?

耳穴式は耳の穴の中がほとんど汗をかかないため、汗による故障リスクが低いです。耳掛け式を選ぶ場合は、防水・防塵規格(IP68やIP58)を取得した機種を選ぶと安心です。

Q4. メガネをかけていますが、どちらが合いますか?

メガネと補聴器の干渉を避けたい場合は耳穴式が有利です。ただし耳掛け式でも、メガネのフレームに干渉しにくいスリムなRICタイプや、補聴器専用のストラップを活用することで対応できます。

Q5. どのタイプが一番聞こえが良いですか?

タイプによって聞こえの特性は異なりますが、どれが一番優れているということはありません。補聴器は購入後のフィッティング調整によって聞こえが大きく変わります。最も大切なのは、自分の生活環境に合ったタイプを選び、専門店での丁寧な調整を継続することです。

結論|補聴器は生活環境で選ぶ

耳穴式と耳掛け式の違いは「優劣」ではありません。重要なのは次の視点です。

  • 使用環境(室内中心か外出が多いか)
  • 難聴の程度(重度の場合はBTEが必須になることも)
  • マスク・メガネとの共存のしやすさ
  • スマホ連携・TV連携などの機能の希望
  • 汗・湿気への耐性(アウトドアや農作業、スポーツ習慣の有無)
  • 電池式か充電式か(電池交換の手間・手先の器用さ)
  • 操作のしやすさ・日々の管理のしやすさ

補聴器はその人の生活に合わせて選ぶことが最も大切です。「どちらが良いか」を決める前に、まずは補聴器専門店で聴力検査を受け、試聴を通じてご自身に合う一台を見つけることをおすすめします。

ご不明な点はお気軽に当店へご相談ください。


補聴器と集音器の違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

補聴器と集音器の違い|後悔しない選び方

補聴器の基礎知識
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