2月20日(金)雨降る中、東京大崎までシーメンス補聴器の臨床セミナーに参加してきました。

今回はセミナーの模様、要点をかなり絞ってお届けします。

駅から徒歩7分ほどの会場。(写真の通り、都会ですよ。笑)

DSC_0238

最近発表された、シーメンス補聴器から徐々にシフトしてゆく新ブランド「シグニア」補聴器の電飾も会場入り口に

DSC_0240

セミナーは、シバントス(シーメンス補聴器)ウェーバー社長の挨拶&同社の今後のマーケティング方針に関する説明からスタート。

DSC_0247

今回のゲストスピーカー、複数の方のお話にも出ていた「実耳測定」が可能な診断ツールUNITY(ユニティ)3も展示されていました。

DSC_0242

先週発表されたばかりの補聴器奨学生プランの案内もありました。(139名の学生の皆様に補聴器をプレゼントされるプラン)※詳しくはシバントス(シーメンス補聴器ホームページまで)

DSC_0239

ミナーは4名のゲストスピーカーによる講演がメインでした。ここでツラツラ内容を書くのは「分かりやすいブログ」を意図している当サイトの意図とは異なるため、スピーチの中に出てきた印象に残りるキーワードを中心に書いてゆきたいと思います。

4名の講師の中で個人的に着目したのは、慶応義塾大学教授の小川先生と、「よくわかる補聴器選びシリーズ」でお馴染み、関谷先生の講演。

小川先生の講演では認知症と難聴に関する話題。

アメリカの事例では、難聴と抑うつの関係は男性で顕著に出ているといったレポートがあること。国内では、関東のとある地域を対象にした難聴と抑うつの進行度合い(男女別)についての研究発表も提示していただきました。難聴と抑うつ、視力低下と抑うつの関係などについても研究されているとのこと。

まとめると、厚生労働省の「新オレンジプラン」の中に、難聴は認知症の危険因子と明文化されたことから、ますます補聴器の必要性が出てくる、という印象。

この他、25デシベルの聴力低下は+7歳の認知機能に相当するというレポートも印象的でした。

さらに厚生労働省概算要求「補聴器技能者養成支援事業」(新規要求)が認められたという話題もあり、今後の補聴器認定技能者の役割もさらに高まってくる流れにあることを再確認しました。

関谷先生の講演では、耳鳴りと補聴器、スマホ補聴器について。

まず、デジタル補聴器の変遷、耳鳴り治療器の変遷とメーカー比較が示されました。

今回のようにメーカー主催のセミナーですと、通常他社の製品が具体的に講義内容に登場することは多くありません。

その点、毎年、補聴器についての書籍「間違いだらけの補聴器選び」を執筆され、補聴器に明るい耳鼻科医、関谷先生ならではの講演ではなかったかな?と感じました。

耳鳴り治療と補聴器については二通りの対処方法(アプローチ)があることを解説。

補聴器そのものの機能ではなく、音の強弱のある断続的ノイズを出せる<耳鳴り治療器>としての役割。最近では耳鳴り治療の機能を搭載した補聴器が増加中で、将来的にはすべての補聴器に搭載されるのでは?とのご見解も。※耳鳴り治療に関しては、機械的な調整(フィッティング)についても耳鼻科医の指導のもと行われなければならず、補聴器販売店が短独で耳鳴り治療器をフィッティングすることはできません。

もう一つの対処法は補聴器を使って難聴の改善をすることで、耳鳴りを気にならなくするというもの。

耳鳴りの大半は難聴を伴うもの。難聴が進んでくると、耳および脳の部分に音が正常に入ってこなくなる。そのことが起因して、「耳鳴り」と認識する音をユーザー自ら作り出してしまい、結果、日常生活に悪影響を及ぼす。補聴器を装着することで、難聴を改善させ、いったん出来上がってしまった耳鳴り発生プロセスに変化を及ぼすという方法。通常の補聴器を調整することで難聴改善するわけですから、こちらは補聴器販売店単独でアプローチできます。どちらの方法をとるかは、難聴がどの程度か?耳鳴りがどの程度かによっても変わってきますね。耳鳴り治療の第一人者である先生のお話だけに、我々販売店の人間にも非常に分かりやすく説明して下さいました。

関谷先生のパートでさらに印象的だったのは「スマホ補聴器」

※当方も、偶然、スマホ補聴器を活用した「補聴器早割U50」を発表したばかりなので、非常にタイムリーな話題でした。

スマホで補聴器調整できることで、補聴器販売店のフィッティング方法も変化してくる。流通も変化するといったお話。

補聴器販売店の役割は、主観評価、客観評価を明確にユーザーに提示できるよう今から取り組むべきである、といったものでした。その中でも「実耳測定」とよばれる、よりリアルな測定(ユーザーの耳ではどう聞こえているか?を知る現実に即した補聴器フィッティング)に関する言及もありました。

ズバリ、補聴器専門店にとっては、こうした時代がやってきても違いを出すべく、現状よりもより深めてゆく必要があるというメッセージだと私は受け止めました。本当に有益なお話で、東京出張した値打ちはこの点だけでも十分な講義内容でした。

まだまだ書き足りないですが、長くなったので今回はこの辺で。

●おまけ

本セミナーには日本全国から補聴器業界関係者、耳鼻科医の先生方、聾学校関連の皆様も来場されていました。

写真は懇親会でご一緒した愛知県で補聴器情報を発信されているあいち補聴器センター、天野さんとシバントス(シーメンス補聴器)ウェーバー社長と3ショットが実現。

天野さんには、我々が運営する次世代補聴器実践会のゲストスピーカーとして、次回の勉強会参加をオファーしました。今から非常に楽しみですね。

_20160220_175708