最近、補聴器が聞こえづらい原因は?聴力低下だけではない3つの可能性
それは「聴力低下」だけが原因ではありません
補聴器をご使用中の方から、よくいただくご相談があります。
「最近、聞こえづらい気がする」
「音が出ていないように感じる」
「家族から“聞こえていないよ”と言われた」
このとき、多くの方がまず不安になるのは
「自分の聴力が下がったのではないか」
という点。
確かにその可能性もあります。
ですが、我々認定補聴器技能者は、他の可能性も必ず考えています。
考えるべきは「3つの原因」
聞こえづらさの原因は、大きく分けて次の3つです。
- 聴力の変化
- 補聴器の故障・異常
- 調整段階の変化(再調整のタイミング)
この3つを整理せずに判断すると、対応を間違えてしまいます。
① 聴力が変化している場合
もし聴力が低下している場合は、
補聴器の再調整で対応できることがほとんどです。
ただし大切なのは、
✔ 耳鼻科での定期的な聴力測定
✔ 耳垢のチェック・清掃
✔ 年1回以上の健康管理
補聴器は段階的に調整を重ねる管理医療機器です。
先ずは土台である「耳の状態」が安定していなければ、正しい調整はできません。
⇒当店では実耳測定を用いて<実際の耳の中でどの程度音が届いているかを確認しながら>調整していますが、この元になるの聴力データです
② 補聴器の故障という可能性
実は、意外と多いのがこちらです。
よくある症状
- 音が極端に小さい
- サーというノイズが出る
- 音が割れる(ガサガサする)、歪む
- 音が出たり出なかったりする
- 補聴器本体をパソコンに接続しても読み込まない
例えば、
- マイク異常 → ノイズや音量低下
- レシーバー異常(RICタイプ) → 音割れ・断続的な音
- アンプ(ICチップ)故障 → 全く作動しない
など、症状によってある程度の推測は可能です。


これらの症状がある場合は、修理や部品交換で改善することがあります。
修理対応の流れやトラブルについてはこちらで詳しくご案内しています。
しかし「耳だけの判断」は危険です
販売店のスタッフが音を聞いて判断することもありますが、
- ベテランスタッフ → 聴力が下がっている可能性
- 若手スタッフ → 経験不足で部位特定が難しい
つまり、
人の耳だけでは客観性がありません。
そこで必要になるのが――
補聴器特性測定装置(特性機)
補聴器を機械に接続し、
- 小さい音
- 普通の会話音
- 大きな音
それぞれが 正しく出力されているかを数値で確認 します。
補聴器には「本来出るべき目標値」があります。
その目標ラインと照合することで、
✔ 正常
✔ 部分異常
✔ 明らかな故障
を客観的に判断できます。


この設備は、
認定補聴器専門店の必要条件のひとつです。
※認定補聴器専門店の役割や条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
③ 調整段階に入ったケース
購入から数ヶ月の方の場合、
実は故障でも聴力低下でもなく、
「再調整の段階」に入っただけ
というケースも非常に多いです。
最初は慣れるために、
少し緩めの設定でお渡しすることがあります。
音に慣れてきた段階で、
本来の目標値へ引き上げる必要があります。
このタイミングで
「最近聞こえにくい」
と感じることは、実は自然な流れなのです。
まとめ:総合判断が重要
聞こえづらいときの流れは、
- 聴力確認
- 補聴器の特性測定
- 調整状態の確認
この順番で総合的に判断します。
✔ 聴力が下がっていれば再調整
✔ 補聴器に異常があれば修理
✔ 両方正常なら再調整段階へ
これを正しく見極めるのが
認定補聴器技能者の役割です。
最後に
資格を持っているだけなら誰でもできます。
しかし、
- 設備があるか
- 客観測定ができるか
- 現場経験があるか
これが揃って初めて
本当の意味での「認定補聴器専門店」です。
補聴器購入や相談の際は、
ぜひその点も参考にしてみてください。
補聴器が聞こえづらいと感じた場合は、自己判断せず、特性機による客観測定が可能な認定補聴器専門店へご相談ください。
今回の内容は、ポッドキャスト形式でも解説しています。 文章だけでは伝わりにくいニュアンスや現場での判断基準についてもお話ししていますので、ぜひあわせてご覧ください。




