2023年3月23日更新
一般社団法人 日本補聴器工業会
日本で補聴器を製造・輸入販売している団体を「日本補聴器工業会」といい、前述の通り、現在11社が加盟しています。
【海外補聴器メーカー】北欧編
オーティコン補聴器(Audmet株式会社)
110年以上の歴史あるデンマークのメーカーです。 ウィリアム・デマント・ホールディングス傘下で、関連会社では聴覚検査機器、 人工内耳・埋め込み型骨導補聴器(日本未導入)も扱っています。
補聴器の製品開発はデンマークにある「エリクスホルム研究センター」で行い、 フラッグシップとしては、脳の聴覚認知機能を研究して考案された 「ブレインヒアリング」 というコンセプトを基に作られた「Opn(オープン)」という機種がブームの火付け役。現在は発展形モデル「MOREシリーズ」(耳掛型)「Ownシリーズ」(耳あな型)が登場しています。
- Own1 オープン価格 参考 両耳1,090,000円
- Own2 オープン価格 参考 両耳 688,000円
- Own3 オープン価格 参考 両耳 529,000円
- Own4 オープン価格 参考 両耳 376,000円
- Own5 オープン価格 参考 両耳 305,000円
スマホとの連携など先進的な機能があり、海外では、IFTTT(イフト:If this then that)と呼ばれるアプリを活用して、 ドアベルと補聴器、メールと補聴器などを連携するサービスが導入されています。
日本に直営店はありませんが、補聴器専門店、大手メガネチェーンでも取り扱いがあります。 日本では以前から小児の難聴ケアにも力を入れており、難聴のお子さんにも馴染みのあるメーカーです。
スイスのメーカー、バーナフォンはAudmet傘下で取扱いがあります。
リサウンド(GNヒアリングジャパン株式会社)
こちらもデンマークの会社で、補聴器製造は1940年代から始まりました。元は19世紀後半から、北欧からシベリア経由で東アジアまで長距離通信網を築いた会社です。 補聴器とヘッドセットの開発を中心とした歴史があります。
2003年に発売された「リサウンド エア」は小型かつオープンフィッティング補聴器の先駆けと言えましょう。 現在はスマホアプリと連携した補聴器はもちろんのこと、遠隔フィッティングのプラットフォームを持ち、 販売店に出向いて補聴器の調整をしなくても、自宅から調整リクエストを送信して、 販売店から調整プログラムをダウンロードすることができます。
- オムニア9 両耳 1,090,000円 充電器込み
- オムニア7 両耳 793,000円 充電器込み
- オムニア5 両耳 553,000円 充電器込み
- オムニア4 両耳 393,000円 充電器込み
日本に直営店はありませんが、 補聴器専門店、大手メガネチェーンで購入できます。
ワイデックス株式会社
デンマークで60年の歴史を持つ補聴器に特化した専門メーカーです。スウェーデンとアメリカに 「ORCA」というリサーチセンターを設立し、補聴器の製品開発に力を入れています。
1995年に発売された「センソ」は世界初の耳あな型フルデジタル補聴器として脚光を浴びました。 現在も多彩な製品を取り揃えており、特に、耳鳴り治療器としての側面もある「ZENトーン」を 搭載した補聴器については独自性があると言えます。
- イヴォーク440 片耳 560,000円
- イヴォーク330 片耳 350,000円
- イヴォーク220 片耳 240,000円
- イヴォーク110 片耳 170,000円
日本では直営店としての位置付けである、大手補聴器専門店チェーン「ブルーム」ほか、 独立系専門店、大手メガネチェーンで入手できます。
[char no=”8″ char=”家族関心男性”]それぞれに歴史があるね。何となくだけど価格帯はどのメーカーも4つ、5つクラスがあるというのが分かってきたよ。[/char] [char no=”14″ char=”認定補聴器技能者”]全ての機種をここに書き出すと、かなりの長文になるため、各社の代表的なシリーズとお求め易いラインナップを念頭にご紹介しています。[/char]【海外補聴器メーカー】欧州編
欧州、ドイツ語圏にも大手有名補聴器メーカーが2社あります。
シグニア補聴器(シバントス株式会社)
130年以上の歴史を誇るドイツ・シーメンス補聴器は、数年前に経営母体を変えて、 現在ではシグニア補聴器という名称で流通しています。製品としては、価格・機能ともにバランスのとれたラインナップが特徴です。
※注 2023年現在、同社は、本拠地をシンガポールに置いています。
歴史としては、補聴器のデジタル化の中で数多くの革新的な技術をうみだしてきました。 現在では技術面だけでなく、補聴器の試聴レンタルサービス、補聴器に慣れるためのユニークな スマホアプリ、遠隔調整可能な補聴器等のサービスも充実しています。
- スタイレット7AX 両耳 1,204,000円
- スタイレット5AX 両耳 864,000円
- スタイレット3AX 両耳 564,000円
- スタイレット2AX 両耳 464,000円
- スタイレット1AX 両耳 364,000円
全国にコンセプトストアを設け、最新モデルの展示・説明なども行っています。日本国内では、かつて外資系メーカーの中では圧倒的なシェアを誇っていました。現在でも大手メガネチェーン、デパート、補聴器専門店など多くの販売店で取り扱いがあります。
業界再編のビッグニュースも!
[char no=”14″ char=”認定補聴器技能者”]2019年、2月、シグニア補聴器(シバントス株式会社)とワイデックス株式会社の合併が発表されました!!今後の流れに大注目です。[/char]2019年2月14日、ワイデックス社とシバントス社の合併案が欧州委員会から最終認可を取得。
・合併により連結収益が17億ユーロ以上となる企業が創出されます。
・2019年3月上旬に正式に合併が成立予定です。
・包括的な販売流通プラットフォームを通じた真に世界的な実績を持つ企業が誕生します。
シバントス㈱ ホームページより引用
補聴器のフォナック(ソノヴァ・ジャパン株式会社)
1947年にスイスでスタートした補聴器メーカーです。 経営母体であるソノヴァ傘下には聴覚関連企業が数多くあります。
製品ラインナップは多岐に渡り充実していますが、一番のアドバンテージは、補聴援助システムです。 専用のワイヤレス通信機器(マイク)を使って、直接音声を補聴器に届けることができます。 これにより、今まで補聴器では聞き取りにくいとされていた、騒音下での会話が聞きやすくなりました。 また、講演会などの話し手と聴き手が離れたシチュエーションでも、言葉の聞き取りの改善が期待できます。 このシステムは特に難聴のお子さんに有用であり、学校の授業で使用されています。
関連企業としては、人工内耳のメーカー「アドバンスト・バイオニクス」(国内では「日本光電」が取り扱い)があり、 補聴器と人工内耳の双方をソリューションとして持つソノヴァグループの今後の可能性が期待されます。
フォナックは特に補聴器専門店での取り扱いが多く、補聴器のプロフェッショナルによる調整技術によって、 より製品の良さが引き出されることでしょう。
[char no=”8″ char=”家族関心男性”]フォナックは知っていたよ。私は片方の耳が子供の時から聞こえていないので、クロス補聴器というものが良いらしいね[/char] [char no=”14″ char=”認定補聴器技能者”]そうですね!フォナック社のクロス補聴器は歴史と実績面で 一日の長があります。[/char]【海外補聴器メーカー】北米・その他 編
[char no=”14″ char=”認定補聴器技能者”]アメリカ、カナダのメーカーについても解説します。[/char]スターキージャパン株式会社
スターキーは補聴器先進国アメリカの補聴器専業メーカーです。 創立は50年前にさかのぼります。今日までアメリカらしい新しいサービスを提供し続けています。1970年代には90日返品保証(トライアル)を業界で初めて打ち出しました。 1980年代にはレーガン元大統領がスターキーの補聴器ユーザーであったことから世界的に注目を集めました。 また、スターキー財団を立ち上げ、世界各国への補聴器支援を続けています。
製品の特徴としては、オリジナリティある音響処理技術などを中心に、最新のコンピューターチップに 様々な機能を搭載しています。 ユニークな製品としては外耳道の奥まで入る極小タイプ「オトレンズ」などがあります。
ちなみに、軍事大国アメリカらしいトピックとして、特殊な騒音環境などによる元兵士達の 難聴や耳鳴りが深刻な問題になっています。そんな中で「退役軍人制度」の一環として、 補聴器の支給など手厚いフォローがあり、国産であるスターキー補聴器が好まれています。 日本では補聴器専門店を中心に取り扱いがあります。
ニュージャパンヒヤリングエイド(NJH)株式会社
(ブランド:ベルトーン、ユニトロン)
ニュージャパンヒヤリングエイドは、日本の補聴器専門商社です。 アメリカの「ベルトーン」ブランドとカナダの「ユニトロン」ブランドを取り扱っています。
現在、ベルトーンはデンマークのGNヒヤリンググループの一員であり、ユニトロンはスイスのソノヴァグループの一員ですが、 日本では1974年にニュージャパンヒヤリングエイドが両ブランドの総代理店となった経緯があります。かつて日本国内でのオーダーメイド補聴器の出荷実績がNo.1になったこともあり、国内には東京・大阪・福岡と、 業界最多の3箇所に製造拠点があります。オーダーメイド補聴器のシェル(耳型)の製作レベルが高いと評判です。 購入先としては、補聴器専門店、有名デパートが中心になります。
●日本
[char no=”14″ char=”認定補聴器技能者”]お待たせしました!いよいよ、ここからは日本国内のメーカーについてもお届けします。[/char]
リオン株式会社(リオネット補聴器)
国内最大手、国産の補聴器メーカーです。太平洋戦争開戦前に、前身の「小林理学研究所」が 潜水艦関連の機器を開発し、戦後1948年には「小林理研製作所」として日本で初めての 量産型補聴器を開発しました。1960年に社名を現在の名称になっています。
同社の製品特徴としては、電池の取り替えが楽な「おまかせ回路」などがあり、国産ならではの 細かい配慮がなされたものがあります。 また、全国に販売・アフターケアを担う「リオネット補聴器専門店」が多くあり、安心して サービスを受けられます。補聴器以外にも医療用の聴覚検査機器、補聴援助システムや 騒音計・振動計・微粒子測定器なども製造販売しています。 最近ではベトナムへの支援など、海外進出もしているメーカーです。
コルチトーン補聴器
戦後、真空管補聴器の開発を経て、1957年に創立した60年以上の歴史をもつ国内老舗メーカーで 東京・名古屋・大阪・福岡に直営店があります。
販売店向けに聴力測定用防音室・補聴器特性測定器の設置も行っています。箱型補聴器に代表されるように初心者向けのリーズナブルな製品も取り揃えています。
パナソニック補聴器株式会社
日本有数の家電メーカー、パナソニック(ナショナル)の子会社である松下通信機器工業株式会社から 発展した会社です。50年以上の歴史があります。
日本の家電メーカーならではのデザインで、使いやすさが特徴です。 充電式の補聴器、簡単にワイヤレス接続できる補聴器などがあります。
東京・横浜・大阪に直営店があります。
マキチエ株式会社(旧 キコエ製作株式会社)
2019年に補聴器工業会会員登録された国内メーカーです。(1977年創業)全身の 「キコエ製作株式会社」でISO13485を取得。 全国に営業所がありますが、主な販路は、病院・聾学校などです。 リーズナブルな製品ラインナップが特徴で、耳鳴り治療器も取り扱っています。
国内メーカーまとめ
補聴器においては、以前は海外メーカーの方が性能・デザインともに先進的でしたが、 国内メーカーも引けを取らないものになってきました。 使いやすさ、シンプルさ、販路ネットワーク(アフターケア)ともに充実しています。
以上が日本補聴器工業会に属するメーカーについて解説となります。
[char no=”8″ char=”家族関心男性”]どうもありがとう。補聴器というどちらかというマイナーな分野、しかも日本で流通しているメーカー数がこれほどあるとは、思いもよらなかった。[/char] [char no=”14″ char=”認定補聴器技能者”]ご清聴ありがとうございました。いきなり補聴器!ではなく、先ずは耳鼻科で治療の可否を確認して下さい。治療ではなく補聴器活用を、となった段階でようやく補聴器を考えるタイミングです。[/char] [char no=”14″ char=”認定補聴器技能者”]できるだけ複数メーカー取り扱いの、認定補聴器技能者のいる補聴器専門店でご相談をオススメします。ご自身の聞こえとご希望に沿った補聴器に出会われること、そして何よりも、補聴器を通じて【快適で質の高い毎日】を送られること願っております。[/char]