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補聴器の選び方:90歳以上の方、お一人暮らしの方編

今回は補聴器の選び方についてお話します。

実は私、補聴器メーカーに勤務している12年の間、ほとんど気づいていなかった点があります。

果たして、いったいそれは何か・・・???

メーカー営業マン時代、常に気にかけていたことといえば、「この補聴器の特徴は?性能は?他社との違いは?」といったことばかり。

一方、補聴器の自宅出張訪問サービスをメインとして3年前に独立してからといもの、私の一番注目する点は「この方はご自身(お一人)で補聴器を扱えるのか否か?」

つまり、最初に見ているポイントが全く違うのです。(現実的な立場=顧客目線でみています。)

補聴器現場で日々痛感するのは、補聴器の性能<お客様の操作性

つまり、購入されようとしている補聴器の性能云々よりも、その操作性が重要であるということ。

操作性の事例:

  • 電池交換は容易にできるか?
  • 一人で補聴器の脱着は可能か?
  • RICタイプの補聴器であれば、レシーバー部分を耳穴の中に固定(ロック)する突っ張り棒的役割、通称、ヒゲとよばれるストッパーを耳穴の中に収めることができるか?

などがその争点となります。

比較的元気な方自らが、補聴器販売店を訪ねる場合を除き、ご自身での移動や、手先の不自由さを感じられる方にとってはこうした点は本当に見過ごせる問題ではありません。※当方、自宅出張訪問サービスを日々行っているからこそ見える視点です。

参考までに・・・

補聴器の電池交換は、一番人気のある機種を参考にとると、7日~10日に一度交換。扱いやすいように一回り大きくしたサイズの電池の場合でも、10日から2週間(機種によっては3週間)に一度は交換する必要があります。

今回、メインテーマにしている90歳以上の方の補聴器、お一人暮らしされている方の補聴器選びで何より最も神経をとがらせるのが、この操作性です。

ご自身での操作が困難となった場合には、以下の点についてご家族様に必ず質問します。

  • 1週間に一度、ご家族が様子を見れる状況にあるか?
  • 1週間に数回、ヘルパーさんが見れる状況にあるか?
  • 毎日、施設のスタッフが見れる状況にあるか?※すべての施設で補聴器のフォローをしてくれるとは考えないほうが賢明です。スタッフの人数、忙しさを鑑みる必要性はあります。(施設訪問を頻繁に行う立場からの正直な見解です。

元々ご本人様の手先が器用である、もしくは上記のようなケースに該当する場合を除いて、本人様がどれだけ小さくて目立たない補聴器をご希望されても、その通り販売することはできません。使用できない補聴器ほど無駄な買い物はないからです。

●操作性からみたお勧め機種・・・

  • シーメンス補聴器:COOL(入れやすい)、PUREカラット(電池大きい)cool_img  Carat-binax_iv
  • フォナック:オーディオシリーズ13電池仕様+SPシェル(イヤモールド。つけやすく、電池長持ち)item01 (1)

SP-235x300 (1)
このように、90歳以上の方、お一人暮らしの方の補聴器選びはこうした諸問題をクリアーできて、ようやく補聴器の性能といったお話になります。

 

つまり、操作性の問題の次に、お客様自身が補聴器に対してどこまでの働きを求めるか?を考えるのです。

  • 音量は全自動でよいか?手動操作は必要ないか?
  • 環境ごと、場面ごとの音質、音量、音の入る方向性について全自動対応か?
  • 両耳装用であれば、音量操作、場面ごとの設定切り替えをワンタッチで行えるか?(両耳同期、両耳通信機能)
  • このお客様は、本体付属の切り替えスイッチよりも、リモコン操作のほうが容易ではないか?
  • このお客様の生活リズムの中では、騒音下での聞き取りは必須条件か?

電池交換、装着は一人できるとなった場合に、ようやく次の段階。

補聴器選定例:

出来るだけ補聴器自身に任せて、余計な動作不要の補聴器を好む場合は、ミドルクラス以上の補聴器をお勧めします。

●ミドルクラスとは<メーカー別の例>:

シーメンス補聴器:3binax 

フォナック:V50,V70 

オーティコン:ネラ2プロ

(2016年2月時点)

静かな場所で補聴器を使うことが大半といった場合にはエントリーモデルでも十分な場合もあります。

●エントリーモデル<メーカー別の例>:

シーメンス補聴器:シリオン2シリーズ

(リモコンは使用できませんが、スマホ用のアプリ活用で補聴器の音量、音質切り替えが可能)

フォナック:タオQ15、Q30シリーズ

(タオは標準でメモリーボタンと呼ばれる音質切り替えスイッチ、テレコイルが標準で内臓。Q30クラスはリモコン対応モデル)

まとめ<補聴器の選び方:90歳以上の方、お一人暮らしの方の補聴器選び編>

  • 補聴器の操作性を見る 電池交換は容易か?補聴器の装着は容易か?を考える

※少なくとも補聴器の装着ができないと、購入されても使用しないといった最悪の状況も想定できます。

  • 補聴器に対する依存度はどうか?

依存度が高い場合はミドルクラスを選定

静かな場所での使用が主体で、自身でも慣れていく覚悟がある場合はエントリーモデルも選択肢に入れる。

補聴器の性能<補聴器の操作性

以上が、90歳以上の方、お一人暮らしの方の補聴器選び方のまとめです。

今回は、90歳以上の方、お一人暮らしの方の補聴器選び方と題してお届けしました。