補聴器のプロは、どんな基準で補聴器販売店を選ぶのか【専門家の選び方】
先日、著作を多数出版されているマーケティング業界の先生から、ご家族様の補聴器相談についてご連絡をいただきました。
こうしたご相談をいただくこと自体、私の考え方に共感していただけている証だと、ありがたく思っています。
ただ、お住まいの地域や移動のご負担を考えると、私自身が対応するのは現実的ではありません。
そこで、その地域で信頼できる販売店をご紹介することになりました。
その際にいただいたのが、
「補聴器の専門家は、どのような基準で販売店を選ぶのですか?」
という質問です。
今日は、実際に私が行った判断基準についてお話しします。
まず確認するのは認定補聴器専門店かどうか
最初のフィルターとして確認するのが、認定補聴器専門店の有無です。
もちろん、認定補聴器専門店が存在しない地域もあります。
また、認定店だから絶対安心、認定店でなければ駄目という話でもありません。
ただ、一定の設備基準や資格者配置などが求められるため、販売店選びの入口としては非常に分かりやすい指標になります。
次に見るのはホームページ
多くの方は、
「親切そう」
「丁寧そう」
「歴史がありそう」
といった部分を見るかもしれません。
しかし私が見ているのは少し違います。
その店が、
何に力を入れているのか。
そして、
なぜそれを重要だと考えているのか。
です。
私はメーカー営業時代、研修期間を含めて300店舗以上の補聴器販売店を見てきました。
設備や接客、調整方針、店舗運営。
さまざまな現場を見てきたからこそ、ホームページを見る際も「何を言っているか」より、「なぜそう考えるようになったのか」を意識して確認します。
「なぜその結論に至ったのか」が重要
例えば耳を塞がないオープンタイプの補聴器。
装着直後の違和感が少なく、お客様の第一印象も良いため、多くの販売店で提案されています。
一方で、
「近くの専門店へ持ち込んだら、聞こえが改善した」
というケースも存在します。
その経験を積み重ねた結果、
「当店では耳型を採取し、オーダーメイド耳栓を積極的に活用しています」
という考え方に至る店舗もあります。
大切なのは、
オープンタイプが正しいか、
オーダーメイドが正しいか、
ではありません。
なぜその店がその結論に至ったのか。
その背景やストーリーが見える店舗は信頼できます。
設備があることと、使っていることは別
これはメーカー営業時代から強く感じていたことです。
立派な設備があっても、ほとんど使われていない店舗は存在します。
極端な話、物置代わりになっていた設備も見てきました。
以前は自治体との契約条件を満たすためだけに設置されている測定機器もありました。
最近では、
「実耳測定ができます」
とホームページに記載されていても、実際に日常業務で活用しているかは別問題です。
補聴器業界は意外と狭い世界です。
業界内のネットワークがあると、形式的なPR目的なのか、本当に活用しているのかという話は自然と耳に入ってきます。
変わり続けているかも大切
オープン当初から設備が変わらない。
やっていることも変わらない。
考え方も変わらない。
そうした店舗もあります。
しかし補聴器を取り巻く環境は常に変化しています。
お客様が得る情報も変わります。
スマートフォンとの連携も進化します。
補聴器そのものの性能も変わります。
だからこそ、
設備投資
知識の更新
考え方のアップデート
を続けている店舗かどうかも重要な判断材料になります。
今回、私が実際に行った選定方法
今回のご相談では、
・ご高齢であること
・車椅子をご利用であること
・離れて暮らすご家族様がサポートされていること
という条件がありました。
そのため、
できるだけ来店回数を減らせること
が重要なテーマでした。
そこで、
・予約制であること
・実耳測定を日常的に活用していること
・調整の再現性が高いこと
を重視しました。
実耳測定をすれば、ご高齢のご本人の「これくらいでいい」という判断だけに頼らずに済みます。
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「実耳測定とは?なぜ補聴器調整で重要なのか」
すべての基準が数値で見えるので、ご本人が嫌がらない範囲で、過剰な音量を届けてしまうこともなくなります。
さらに、装着しやすいオーダーメイドの耳あな型であれば、「こもる」「響く」の原因も数値に出ます。
初期段階の来店を2回は減らせる計算です。
車椅子でのご来店が前提なら、この差は決定的でした。
さらにメーカー時代のネットワークを活用し、現場を知る担当者にもヒアリングを実施しました。
実は候補の中には、耳鼻咽喉科との連携が非常に強く、地域でも高く評価されている専門店もありました。
しかし今回は、
・予約の取りやすさ
・車椅子での移動負担
・ご高齢であることによる継続通院の現実性
まで含めて検討しました。
良い店かどうかと、その方に合う店かどうかは必ずしも同じではありません。
また、今回ご相談いただいた先生は私の考え方に共感してくださっていたこともあり、複数メーカーの比較試聴ができることを重視し、メーカー直営店は候補から外しました。
そうして最終的に2店舗をご紹介しました。
口コミを見るならここを見る
最近は口コミを参考にされる方も増えました。
もちろん参考になります。
ただし補聴器専門店の場合、
「親切だった」
「丁寧だった」
だけでは判断できません。
私なら、
・購入前の相談内容
・購入後のフォロー
・聞こえなかった時の対応
・トラブル発生時の対応
・調整を重ねた結果どうなったか
そうした部分の口コミを重点的に見ます。
補聴器は購入して終わりの商品ではありません。
むしろ購入後からが本当のスタートだからです。
最後に
今回ご紹介した2店舗については、あえて店名は掲載しません。
なぜなら、今回お伝えしたかったのは「どのお店が良いか」ではなく、
「どういう基準で選ぶべきか」
だからです。
補聴器販売店選びに絶対の正解はありません。
地域や年齢、ご家族の状況によっても最適解は変わります。
ただ一つ言えるのは、
ホームページの見た目や設備の数だけで判断するのではなく、
そのお店が何を大切にし、
なぜその考え方に至ったのか。
そこまで見ていただくと、本当に自分に合った販売店に出会える可能性は高くなると思います。
補聴器は購入して終わりではありません。
だからこそ私は、外側の飾りではなく中身を見ます。
そして、もし今検討している補聴器販売店があるなら、一度考えてみてください。
そのお店は、何に力を入れているお店でしょうか。
そして、
なぜその方法にこだわっているのでしょうか。
その答えが見えるお店こそ、長く付き合える販売店なのかもしれません。





